野生水域

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2005年8月から2006年9月にかけ録音・制作された。 (mp3, 2'40, 3.1MB)

 遠い夏のある日、エーゲ海の保養地で、泳いだり、スイカを喰ったり、ガーイダ(バグパイプ)を吹いたりして過ごした。
 そのときふっと湧き出した旋律を、ウイスキーやワインが熟成していくように、否、もしかすると瑞々しかった果実が腐敗してでろんでろんになっていくように、か、長い時間をかけて曲にした。

 海は巨大すぎてそこに棲む生物もすべて知り尽くされているわけではないだろう。秘密に溢れている。なによりも、そのとき眼前にひろがっていたエーゲ海というやつの表現の仕様もないほどの碧さに、条理や理性では語れぬ超自然的な何者かの仕業を感じてしまった。とろん、とした水面の質感には官能を。

 見たこともない世界への憧憬。それも俺を突き動かしている。

<歌詞>

君は海の歴史を知っていますか
水の中の歴史を知っていますか

波乱の海賊船が跋扈する海域
海中を飛行する君は鳥だ
ジン浸りの水夫よ 鴎よ 自由よ
波は記憶をどこまでも運んで行く

一点の曇りのない空を見に行こうよ
一点の翳りのない空を見に行こうよ
一点の汚れのない海を見に行こうよ
一点の澱みのない海を見に行こうよ

古代の沈没船から溢れ出した
バッカスの葡萄酒で君の頬が染まる
君は海の歴史を知っていますか
水の中の歴史を知っていますか

一点の曇りのない空を見に行こうよ
一点の翳りのない空を見に行こうよ
一点の汚れのない海を見に行こうよ
一点の澱みのない海を見に行こうよ

君は海の歴史を知っていますか
水の中の歴史を知っていますか

<使用道具>

貝殻 / ダルブカ / デフ / ガイダ /
マンドリン / ウト / カラデニズ・ケメンチェ