悲しみ 砂と楽師
2008年1月から2月、録音制作された。(mp3, 3'02, 4.1MB)
楽師が語ったり、歌ったり、演奏したりするべきこととは何だろうか。
そもそも「するべき」ことなどあるのだろうか。
それがパトロンやクライアントの意に添ったものであることは止むを得ないだろう。
しかし、楽師にも目があり耳があり束縛されぬ心がある。
例えば現場で起こっている出来事を音楽に刻み、それを口承に託すこと。歴史の叙述。
例えばロマンス、それは一個一個が特別でありながら普遍でもある。
そして刹那の心の揺れ。
サズを爪弾くとき、その音色を聴いていて、なぜかそんなことを考えた。
<歌詞>
砂は風に舞って通りに積もる
街の思い出を消していく
砂は風に乗って隙間を埋める
秘め事は葬り去られる
雪は優しい温かさを持っている
雨は口で表せぬ喜びを
砂は俺に何を語っているのだろうか
耳を澄ましてこだまを待つ
青い空の下、木陰に座り
通りを歩く君を待った
俺の指先は、目が合ったとき
流れるメロディを奏でた
砂は君を家に閉じ込めてしまい
砂は音を忘れさせてしまうだろう
砂は俺に何を語らせようというのか
耳を澄ましてこだまを待つ
街の人々は高い壁で
街の周りを囲い出す
街が再び色付き、呼吸を始め
青い空は戻るのだろうか
悲しみの涙が溢れ出したら
せめて何か 種は芽を吹くだろうか
砂は俺に何か語ってくれるだろうか
耳を澄ましてこだまを待つ
耳を澄ましてこだまを待つ
<使用道具>
参考までにこの曲でのサズ調弦を記す。
1コース(A)、通常3本の弦が張られ、1本だけオクターブ下に調弦されるが、その弦を張らない。
2コース(D)、通常2本の弦が同じ音で張られる。そのまま。
3コース(G)、通常2本の弦がオクターブ違いに調弦され張られる。そのまま。