身体

body


産地:
写真は日本産、というか俺の手
材質:
蛋白質等
分類:
体鳴楽器
奏法例:
頭をぶん殴る、歯をかみ合わせる
歯ぎしりする
頬を叩く、開いた口を叩く
手を叩く
指鳴らし
身体をはたく・叩く・擦る
関節を鳴らす
身体
コメント:

来歴について特に語ることはない。それで一曲作ったという経験もないし。作ろう作ろうと思っているのだが、そんな曲作ると「どうだ俺の肉体は」みたいな態度を露わにしているようで倣岸な印象を人に与えやしないかと不安になるじゃあないか。


奏法例より

頭をぶん殴ったり歯を噛み合わせる音をパフォーマンスに導入したのはLaurie Andersonである。特殊なマイクを口腔内に仕込み、頭蓋骨への打撃や歯を噛む音を自身のパフォーマンスに導入していた。

歯ぎしり音を作品化した例を私は知らない。

頬を叩く、開いた口を叩くは、口腔を共鳴体とした芸の一種と考えられる。

手を叩く、それは人間の根源的な感情を表現する仕草の一つかもしれない。おそらく「音楽」というものが発生する以前からある動作で、音楽の根源の一つでもあろう。私が目撃した妙技として、タイの物乞いが開いた口の前で手拍子をし、口の大きさや唇の形を変えることで手拍子が口腔に共鳴する音に変化を生じさせ、旋律的あるいは不思議なエフェクトがかかったような音で手拍子を演奏していたというものがある。もう一度みたい。

指鳴らし、私が目撃した妙技として、トルコ人なら大抵、我々に思いもよらぬ指鳴らし技を持っている。両手の小指から人差し指までの四本の指を駆使してカスタネットのリズムのように打ち鳴らすことは序の口、手の甲、指の甲、親指と人差し指の間の柔らかい部分などに反対側の手の指を打ち付けて鳴らすなど、驚かされる。

身体をはたく・叩く・擦る、オセアニアの身体打撃によるアンサンブルなどは一見の価値ある妙技といえよう。

関節を鳴らす、音声化された作品を聴いたことはない。そんなもの聴いたら嫌な感じかもしれない。筒井康隆の短編小説『関節話法』は関節を鳴らす音を言語とする異星人とのコミュニケーションを描く傑作である。

(2007年5月記述)



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