曠野の歌

移動式音楽班 自作を演奏する

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舞台の上 裸の一座
扉 ~ 波
夜の果て 腹減らしに蜜
庭は野に帰る
虹をくぐる
夏の訪れ 路傍に散るもののシャンソン
曠野逍遥
水面に投げ込まれる小石
秘密煮込
市場の道 曠野の歌
世界に背く 一瞬 愛の記念に
臓物のメロディ 臓物のリズム
お馴染みのスープ
完全な太陽 完全な海


収録された全ての曲の創作、演奏・録音・編集は移動式音楽班によって為された。

但し「夏の訪れ 路傍に散るもののシャンソン」におけるメロディの主題は、Claude Debussy (1862 - 1918) Marche ecossaise sur un theme populaireより採られた

音楽作品を創作する、という行為に心を奪われたのは、1980年代に遡る。以来、のめり込んだり身を引いたりしながらやってきたが、そのある時期に着想したサウンドを、可能な限り具現化したものが本作である。

80年代の半ば頃に創作されたものから、直近の創作まで、そこには長い歳月に渡り綴られた言葉や、よかれと思い選びとった音が集合したメロディがある。

作品のうち、そのあるものは、書かれた当時の姿をデモテープとして記録していたり、ただ雑にノートに書きつけたものであったりといった、過去の記録や記憶から新たに生み出したものである。また一方で、過半の作品は、この数年の間に創作したものである。

それら曲の原型に、目下の私が繰り出せる、貧相で乏しい技の限りをもって表現したものが、ここにあるものということになるのであろう。長い年月にわたり書き綴ってきたものを、直近の私の感性・作風で演奏したもの、という風にも言える。

録音と制作は、主に我が書斎(蔑称:悪趣味の部屋)にて、2008年から2012年にかけて敢行された。一人で全ての生楽器の演奏と録音をやっているので長い期間を要したものだ。

最初から何かのプラン通りに進行してきたわけでもなく、やがてこういった作品集となったものだが、かといって偶然というわけでもなかろう。

それらは、ほぼ四半世紀を通して、熱く込み上げるものか、或いは冷たく醒めたものか、説明しがたいある種の情熱に動かされ創作された、それぞれの一つのかたち・有様を、音として刻んだ記録なのだろう。それらの音が何か壁のようなものを乗り越えているか、あるいは突き抜けているか、自分なりに希求してやまないものはあるが、例えその何か壁のようなものに屈することになっていたとしても、私はそれを恐れることはない。今までも、これからも。

なお、私はこの作品集を「曠野の歌」と呼ぶ。私が彷徨い漂う土地の歌集である。

2012年6月  移動式音楽班

舞台の上 裸の一座

幕が上がる
不意を突き
舞台の上
裸の一座

幕が上がる
不意を突き
舞台の上
孤独の一座


サヌカイト / マラカス / チャフチャス / チン / ベル / ドーラック / ダルブカ / ダウル / 鍵盤ハーモニカ / ソプラノ・リコーダー / ウード / マダリン / セムセメイヤ / 擦弦クラシックギター / BOSS SP-505 / iphone

扉 〜 波

扉の前に立っている
俺は扉を開けるだろう
扉の前に立っている
俺は向こうが見たいだろう

春の野原かも
夏の岸辺かも
心を残してきた、あの甘い触れ合いかもしれないぜ

すべて洗い流せるのなら
ああ、なんていいのだろう
忘れられぬ生の喜び
さあ、迷うことなく扉の取っ手に手を掛ければいい

扉の前に立っている
俺は扉を開けるだろう
だってここは始まりでも、或いは終わりでもない

だってここは始まりでも、或いは終わりでもない

すべて洗い流せるのなら
それはなんて素敵なのだろう
地獄を塞ぐ蓋だとしても
さあ、迷うことなく扉の取っ手に手を掛ければいい

隔てられた二つの世界
或いは向うも同じ世界?
俺は扉に手を掛ける
さあ、さあ、さあ


ストンプボックス / 手拍子 / ムビラ / サヌカイト / ドーラック / fax用紙の芯 / クラシックギター / フォークギター / バイオリン / カラデニズ・ケメンチェ / 擦弦クラシックギター / BOSS SP-505 / iphone


何事もないかすかな波紋
波のように押し寄せる
渦のように引き摺り込む
何事もない小さな波紋が
大波のように押し寄せる
取るに足らないかすかな波紋が


ストンプボックス / こきりこ / ムビラ / ドーラック / デフ / 鍵盤ハーモニカ / クラシックギター / 擦弦クラシックギター / エレキマンドリン/ BOSS SP-505 / iphone

腹減らしに蜜

朝眠りにつき夜に目覚める
朝眠りにつき夜に彷徨う

蜜の匂い
夜光虫のカーニヴァル
抗えぬ誘惑
夜の世界
濡れた苔
光る夢きのこ
色艶に目が回る

口笛を吹いて呼び寄せろ
夜の精は永遠のパズルを解く
夜更けに開く花の色 じっと目を凝らせば
鮮やかに目に映る

朝眠りにつき夜に彷徨う

蜜の味
くちびるは向こう側への門
幕が開き目が眩む
軽業師
火吹き男
ナイフ投げ
息を呑む
夜を彩る曲芸

ハミングで歌え 秘かなまじないのことば
永遠のパズルを解く
夜更けに開く花の音 耳をすませば
それはきっと聞こえる

甘い蜜
夜の色
内緒の印見つけたら
そっとそのままに
夜の果てくぐり抜ける

鼻唄でうっかり口にしてしまったならば
永遠の謎がかかる
朝眠り夜が来る度彷徨う
腹減らしのおいらさ

かりそめのそのいのち
むせるほど撒き散らし
散り果てるそのさだめ
わたしを誘う
かりそめのこのいのち
無様なほど愛おしい
今ここ、蜜を糧に我が身がある
夜の果て抜けるまで


ストンプボックス / マラカス / ケンガリ / ドーラック / デフ / シプシ / クラシックギター / フォークギター / ブズーキ / ベース大正琴 / BOSS RC-50 / BOSS SP-505 / iphone

庭は野に帰る

枯れた庭に種を蒔こう
荒れた庭に苗を植えよう

豆にパセリ、芋にトマト、
唐辛子に月桂樹、ひまわりにラベンダー

枯れた庭に水を撒こう
荒れた庭に雨を乞うよ

銅鑼に喇叭、焚火に花火
念仏、水掛け、空に届け

緑で満ち、花が咲いて、実をつける様を手紙に書くよ
気が向いたら来て欲しいな
君がいたなら完璧なんだな

双葉が出たよ、空を目指すよ
蔓が伸びるよ、絡まって行くよ

あおむし毛虫、庭は餌食
忌々しい雑草、湧いたようにはびこる

流れる季節は移ろいゆく悪魔
乾いたかさぶた、無理にむしり取る

傷口に利くおまじない唱え何もない風を装う
過ぎた日に置いてきたもの
わざと謎めいた風に誤魔化す
ほんの気まぐれ、庭は野に帰る
野性はなつかない、まるで君のよう

緑の魔法、視界不良
歩く路も消えた、まさに密林

豆にパセリ、芋にトマト、
唐辛子に月桂樹、みんなどこへ行ったの

鳥や虫の棲家になって、手に負えぬ様を手紙に書くよ
気が向いたら来て欲しいよ
君がいたなら完璧なんだ

流れる季節は移ろいゆく悪魔
尖ったささくれ 噛んでむしり取る

傷口に利くおまじない唱え何もない風を装う
来る日に訪れるもの
わざと気付かないふりで誤魔化す
ほんの気まぐれ、庭は野に帰る
野性はなつかない、まるで君のように

夜が昼を打ち負かせば
やがて全て元に戻る

枯れて、荒れて、風に雪にさらされる様を手紙に書くよ
気が向いたら来て欲しいんだ
君さえいれば完璧なんだな


マラカス / 木製玩具 / びんざさら / 木製カウベル / プーイリ / 竹製口琴(ボルネオ製) / 木の葉 / 木琴 / ドーラック / ダルブカ / ダウル / 糸こすり太鼓 / ソプラニーノ・リコーダー / フォークギター / マンドリン / 擦弦クラシックギター / BOSS SP-505

虹をくぐる

曇り空の色を映す町
町の上に不釣り合いな虹

電流で雲を焼き切るような
研いだ刃で空を断ち切るような

弧を描く光線が町に架かる
不意にそれをくぐってみようと思う

日影に澱んだ路地抜けて
ひび割れた急な坂道上って

俺が憎んだ町
俺と君が染め合った色の雫
町に架かる虹
そのどこかほんの一滴流れるのなら

曇り空の色を映す町
町の上に不釣り合いな虹

もう二度と巻き戻らない風景
容赦なく俺も巻き込んで

町の上を跨ぐ光の門
一度それをくぐってみようと思う

人気の途絶えた目抜き通り
在りし日の夢のあと辿って

俺が憎んだ町
俺と君が触れ合った炎の残り火
町に架かる虹
そのどれかどんな色でも描いたのなら

ここに横たわる町
なんて幸せだった、そんなこと知らなくてよかった
町に架かる虹
そのすべて眺め、この眼に焼き付けるのだ

空の下、虹をくぐろう
近づけば、離れて行く
見上げれば、今日の空


ストンプボックス / マラカス / ジル / チン / グンガール / ハンドタール / チャンゴ / フォークギター / ブズーキ / ベース大正琴 / エレキギター / BOSS RC-50 / BOSS SP-505

夏の訪れ 路傍に散るもののシャンソン

夜の町、稲光、眠れない、土砂降り
低気圧が通過する 稲光に浮かぶ町

醜い嘘が美しい歌になるなら
目を背ける裏切りが歌になるなら

夜は知っている 風は知っている
夏は知っている

国境を越える風のように、海峡を渡る風のように
自由に飛ぶことができればあなたに届くのだろうか
国境を越える鳥のように、海峡を渡る鳥のように
自由の羽を背にはばたかせ、夢を見る
あなたに会おう

夏の日よこんにちは
赤い花が蒸し暑い朝そっと開く
野性が影もなく放射する
その鼓動にこの身を任す

夜の町、稲光、眠れない、土砂降り
低気圧が通過する 町に夏が訪れる

醜い嘘が美しい歌になるなら
目を背ける裏切りが歌になるなら

夜は知っている 風は知っている
夏は知っている

夏の日よ永遠に!
赤い花が濡れた舗道にぽとりと落ちる
野性は音もなく発火する
その炎にこの身を任す

国境を越える風のように、海峡を渡る風のように
国境を越える鳥のように、海峡を渡る鳥のように

夜は恒星のように眩しく
生きる証しを露わに曝す
夏の風よ あなたへ届け
この路傍に散るものを飛ばせ


手拍子 / マラカス / グンガール / ドーラック / デフ / 中太鼓 / ソプラノ・リコーダー / ソプラニーノ・リコーダー / クラシックギター / マンドリン / 擦弦クラシックギター

曠野逍遥

うー
うー
ううう
ううー
ううー
うぅ
うぅ
ううう


マラカス / チャフチャス / 金属製口琴(ベトナム製) / ドーラック / でんでん太鼓 / チューブ / ブルローラー / オートハープ

水面に投げ込まれる小石

水面に投げ込まれる小石は沈んでゆく
水面に投げ込まれる小石に何ができる
あなたと出会って俺に何ができる
あなたと出会って俺に何が出来るのだろう

雨が降る、曠野に
何年かぶりの
野性の暗黒は大欠伸して目を覚ます
流れ者の楽師 遍歴の大道芸人の
あなたとは結ばれない
どれほどあなたを望んでも

歌は流れ、人は踊る
季節は移ろいゆく悪魔
俺たちはいつか死ぬ
まるで犬と同じように

雨が降る、曠野に
あなたの髪が濡れる
あなたは艶々と曇り空に伸びる草になる
漂泊する楽師 遍歴の大道芸人は
祭りを囃し立てれど
踊の輪には加われない

漂う魂に根っこはないんだよ
愛したり生き抜くことに
決まりはどこにもないんだよ
あなたを望んだことは少し可笑しいだろう
埃っぽい乾いた道にもお気楽な花が咲くんだよ

歌は流れ、我を忘れ
あなたを渇望した事実
あなたに燃え上がった事実を何かに刻みつけたい

雨は止み、曠野は燃える
あなたは陽炎になる
あなたを求めて俺の流離が始まる
異界の入り口は
多分ほら、そこで口を開けている
ちっぽけな泥水溜り
漂う人として飛び込めるだろう

あなたを探す、この流離に為す術はない
水面に投げ込まれる小石は決して
波紋を広げることを知らないだろう


ストンプボックス / 手拍子 / ジル / ムビラ / ドーラック / デフ / チャンゴ / ダウル / 鍵盤ハーモニカ / シプシ / クラシックギター / マンドリン / ブズーキ / 擦弦クラシックギター / ベース大正琴 / iphone / BOSS SP-505

秘密煮込

丸い種 細い種 長い種 香る種
赤い粉 黒い粉
鍋に入れて掻き混ぜて火を起こせ

秘密は呪いの従兄弟 触れれば鎖に繋がれる
秘密は誘惑の花嫁 握れば棘で血を流す

あなたのお得意、秘密の煮込み
調理場の大鍋の中
鍋を叩き轟音を上げて
八回に一度歓喜の声
一二三四五六七八

クミン小さじ2、コリアンダー小さじ3、パプリカ小さじ5
そして秘密
シナモン一片、クローブ二粒、カルダモン三粒
あとは秘密

丸い種 細い種 長い種 香る種
赤い粉 黒い粉
鍋に入れて掻き混ぜて油も注げ

秘密は苦悩の母親 抱き、あやし、育くみ、疎まれ
秘密は連帯の後見人 操り、かすめ取り、なだめる

あなたのお得意、秘密の煮込み
私の旅を足止めする
大鍋の中身、生の秘密
味見してそっと見て、含み笑い

煮込みは嫌いかい、同じ人類なのかい
何がお好み、コクが決めてなのだよ
腹は減ったかい、口移ししてあげる
飲み込んだのかい、それは、それは

丸い種 細い種 長い種 香る種 干した果実
干からびた根っこ
鍋に入れて掻き混ぜて狼煙を上げろ

レモン丸1、干しブドウ一握り、おや、何の根っこだ?
だから秘密
胡椒忘れず、マスタードお好み、で、肉はどうしたの
そこが秘密

クミン小さじ2、コリアンダー小さじ3、パプリカ小さじ5
更に秘密
シナモン一片、クローブ二粒、カルダモン三粒
あとは秘密
秘密、秘密


ストンプボックス / ジル / トライアングル / ドーラック / デフ / ダラブッカ / 鍵盤ハーモニカ / ガイーダ / ウード / マンドリン / サズ / 大正琴 / 擦弦クラシックギター / BOSS SP-505 

市場の道 曠野の歌

市場の道に迷いこむ
あなたの面影を探して
私は汗ばみ疲れてしまう
そして皆が私を振り返る

太陽の下のギター
その調べは決して導きはしないだろう
私は汗ばみ疲れてしまう
そして皆が私を振り返る

晴れた日に目を伏せる私
晴れた日に異邦人として見ないで

甕の水を飲むことは
あなたを諦めること
あなたは決して見つからない
私はただ、ただ歩く

市場の道は長く
曠野へと祭りの日へと続くが
あなたへは決して続かない
どうか私を振り返って見ないで

晴れた日に目を伏せる私
晴れた日に異邦人として見ないで

長すぎる、市場の道
遅すぎる、振り返るには
市場の道を、引き返すには

後悔とも安堵ともつかぬ
思い引き摺ってこの道を泳ぐ
過去の野郎、どこまでも俺を
追いかけてきやがり俺を嘲る
伏し目の奥にあなたを見た
伏し目の奥に面影を
涙で曠野が森に変わる
出来ることは、ない
祭りの日

私は歩いて行く


ストンプボックス / マラカス / チャフチャス / 土鈴 / 貝殻 / グンガール / ベル(インド製) / リムショット / ハンドタール / 鈴 / ムビラ / 木琴 / サヌカイト / ドーラック / 鍵盤ハーモニカ / シプシ / カズー / アルグール / ミジュイズ / ズルナ / ティンホイッスル / 和笛 / fax用紙の芯 / クラシックギター / フォークギター / ウード / バラライカ / カラデニズ・ケメンチェ / 擦弦クラシックギター

世界に背く 一瞬 愛の記念に

愛の記念に
かりそめのばら色で
世界に色をつけようよ
言葉を、メロディを、
口づけも、抱擁も、
手当り次第に染めようよ

そしてかりそめのばら色で
色褪せぬばら色を
ほんのひととき描けたなら
一瞬でも
それは胸に咲き風を越え、雪を越え、
俺とあなたを結ぶだろう

太陽の下で写真を撮ろうよ
人は変わっちまう
俺も変わるのだろうか
人はどこまでも残酷になれるんだな
憎み合うのは御免なんだな

あなたと一緒ならとても楽しいな
旅に出ようよ、ここにはもういられないな
友達よ家族よさようなら、涙ながら
故郷よ国よお別れだ

愛の記念だ


マラカス / ジル / チン / カルタール / ケンガリ / ドーラック / チャンゴ / ソプラノ・リコーダー / クラシックギター / ウード / サズ / ソウウー / 擦弦クラシックギター

臓物のメロディ 臓物のリズム

遂に今日は裏が表だ
今日だけは裏が表だ
今日だけは王は馬鹿だ
昨日までの馬鹿が王だ

王は馬鹿だ
馬鹿の王だ
王が馬鹿だ
馬鹿が王だ
馬鹿が、おぉ、王

内臓を振り回せ、内臓を吹きならせ
内臓を振り回せ、内臓を吹きならせ
臓物を振り回せ、臓物を吹きならせ
内臓を振り回せ、内臓を吹きならせ

内臓のメロディ、内臓のリズム
臓物のメロディ、臓物のリズム
はらわたのメロディ、はらわたのリズム
内臓のメロディ、内臓のリズム

下衆が上等だ 歴史的な下衆だ
下衆が上等だ 下衆が 下衆だ

下衆が上等だ 記録的な下衆だ
下衆が上等だ 下衆が 下衆だ

揺らめく炎、明滅、酩酊
俺が下で 君が上だ

内臓を振り回せ 内臓を吹きならせ
遂に今日は 裏が表だ
臓物を振り回せ 臓物を吹きならせ
今日だけは 裏が表だ
臓物のメロディ 臓物のリズム
内蔵のメロディ 内蔵のリズム


ストンプボックス / 手拍子 / 洗濯板 / マラカス / 木製玩具 / 瓶(叩く) / 金属製口琴(オーストリア製) / ドーラック / ダラブッカ / チャンゴ / ダウル / 糸こすり太鼓 / 鍵盤ハーモニカ / シプシ / カズー / 瓶(吹く) / クラシックギター(ノーマル・フレットレス・プリペアード) / ベース大正琴 / iphone / BOSS SP-505

お馴染みのスープ

煮えた汁を食って 身悶える
収まらぬ火傷 舌の上
絶えまない疼きに 苛まれる
口も喉も焼くような 煮えた汁

どろっと蕩けた溶鉱炉
蕩けて煮立った溶鉱炉
匙で掬い 流し込み 今日が明ける
お馴染みのスープ

俺は俺が何ものなのか
お前を喰らうと思い出す
腹立たしく感じる俺がいる
ほっと息をつく俺もいる

どろっと蕩けた溶鉱炉
蕩けて濁った溶鉱炉
ためらわず口に運んで 今日を生きる
お馴染みのスープ

隠し通せぬものがある
腹に灯る熱が俺を動かす

豆にパセリ 芋にトマト
唐辛子に月桂樹 秘密のスパイス
干物乾物 臓物に夢きのこ スープ皿に波打つ世界

君も俺と同じようなものなら
歌い踊り喚き 一滴残さず味わおう

どろっと蕩けた溶鉱炉
蕩けてくすんだ溶鉱炉
何が混ざっているのだろう
今日も喰らう お馴染みのスープ

夜の向こう 明日が来て 繰り返す儀式 この味、逃げ切れぬ

君も俺と同じようなものなら
歌い踊り喚き 一滴残さず味わおう
君も俺と同じようなものなら
歌い踊り喚き 一滴残らず味わい尽くそう

口の中を噛んで しかめ面
広がる血の味 俺の味
舌の先を噛んで しかめ面
ざらついた血の味 俺の味


ストンプボックス / マラカス / ジル / チン / ドーラック / デフ / ダウル / 鍵盤ハーモニカ / カズー / ソプラニーノリコーダー / クラシックギター / フォークギター / ベース大正琴 / iphone / BOSS SP-505

完全な太陽 完全な海

酔狂、素っ裸
海へ向かい突進する
浜に人気なく俺の身体と記憶だけ

俺は真昼に闇を見た
巨大な不条理の暗闇
具体的なエピソードはあなたの想像に任せる

水中、じたばたと
あぶくにまみれ息を刻む
海全体から見たならば何ほどのことでもあるまい

俺は真昼に闇を見た
巨大な不条理の暗闇
具体的なエピソードはあなたの想像に任せる

真昼が白いほど影は黒い孔を穿つ
眩しい太陽が影を黒く炙り出す

海面、ゆらゆらと
身を任せ天を仰ぐ
記憶を反芻、溺れぬよう波に抗う

俺は真昼に闇を見た
まるで無力な俺がいた
さらにそれに加担する俺の姿すら見えた

真昼が白いほど影は黒い孔を穿つ
眩しい太陽が影を黒く炙り出す

完全な太陽の下、完全な海の上で

光線を浴びて記憶のネガは胸に残る
浮くも沈むも目下、自然任せ
俺の中に黙ることを知らぬ言葉がある
まだやることがある
まだやることがある

浜に人気あり
裸でなど戻れるものか
光は全て顕わにする
海藻でも身に纏おうか

太陽に焼かれちまえ
海に洗い流しちまえ
具体的なエピソードは
今度じっくりと話すよ


ストンプボックス / クラシックギター / マンドリン / ブズーキ